日本医科大学呼吸器外科の特色
伝統の継承と変革
日本医科大学付属病院呼吸器外科は、2012年12月に日本医科大学大学院医学研究科呼吸器外科分野として新たにスタートいたしました。その源流は、1972年に庄司佑教授による第3外科に遡ります。
その後、第2外科の胸部外科部門として運営され、2003年6月に小泉潔准教授(当時)が日本医科大学付属病院呼吸器外科部長に就任され、肺癌に対する胸腔鏡手術などに取り組まれてきました。
私どもの使命は、大学院大学として臨床、研究、教育に取り組み、常に患者さんのために貢献できるように励んでおります。
臨床
肺癌に対する外科治療を中心し、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、縦隔疾患、自然気胸などの外科治療、気管支鏡治療などを行っております。肺癌は、我が国で最も死亡者数の多い疾患であるため、呼吸器内科、放射線科、病理の各科の先生方と緊密に連携して患者様のためにスキのない診療を心掛けております。
胸腔鏡手術、進行肺癌に対する拡大手術のみならず、気管支鏡によるレーザー治療、気道狭窄に対するステント挿入などの呼吸器インターベンションにも積極的に取り組んでおります。早期肺癌に対する低出力レーザー治療(光線力学的治療、Photodynamic therapy: PDT)も積極的に行い、高齢者、低肺機能の患者さんのQOLを損なうことのないように努めております。この分野では、世界の先駆的立場にあります。
患者様、御家族に満足していただけるような診療を提供することで、スタッフ一同、真心をもって対応し、皆様のお役に立てるように努めております。
研究
肺という臓器は、年齢と共に機能が低下し、また喫煙などで傷んだ肺はもとに戻すことはできません。
そのため、外科切除が不可能な患者さんも大勢いるのが現状です。我が国が今後迎える高齢化社会においては、患者さんの負担を軽減するような低侵襲治療の開発が必要です。
そこで、私どもは医学・工学の連携を進めて、次世代を見据えた胸腔鏡手術の開発、安全性と低侵襲を追及した新たしい医療機器の開発などを行っております。またトランスレーショナルリサーチを推し進めることで明日の臨床につながるような取り組みを行っております。
教育
外科専門医、呼吸器外科専門医などが取得できるカリキュラム作成、環境づくりを実践していきます。
呼吸器外科医として単に外科手技として手術を行うだけでなく、診断や内視鏡治療、呼吸器インターベンション、臨床研究を通じて、広い視野をもつ腫瘍専門医の育成も行っていきます。
「大学院重点化」として大学院教育、医学教育の質を高めるためには、呼吸器外科手術・診療技術を教育するだけでなく、「今」の患者を救うことにより、「明日」の科学を発展させる研究能力を備えた呼吸器外科医の育成を目指しております。
私ども呼吸器外科スタッフ一同は、日本医科大学の学是「克己殉公」の精神をモットーに患者さんのために最善の医療を尽くすことができるように努めてまいります。また、呼吸器外科を志す若手医師が自然に集まってくるような環境を有する教室を目指していきたいと考えております。